アラスカ
Vol.64 1箱に2匹の女王蜂

アラスカ最大の都市・アンカレッジの郊外にある町、パーマー。
ここで暮らすジョーさんは、はちみつをたくさん採るために、1つの巣箱に2匹の女王蜂を入れるという、かなり変わった養蜂をしています。
はちみつをたくさん採るには多くの働き蜂が必要で、通常は日数をかけて徐々に増やしていきます。
ここアラスカでは繁殖期である春と夏が短いため、一気に働き蜂の数を増やす必要があるのです。ところが、女王蜂は自分の群れにいる働き蜂の数に見合った分しか卵を産んでくれません。

そこでジョーさんは、2つの働き蜂の群れをひとつにし、それを2匹の女王蜂に共有させることで卵をたくさん産ませています。
ただし、異なる群れをひとつにすると、いさかいが生じるので、2つの巣箱の間に網をはさみ、少しずつ慣らしながら同族意識を持たせます。
そうすると、働き蜂同士はもちろん女王蜂もすべての働き蜂を仲間だと錯覚し、それに見合う数の卵を産みます。最後は網を外し、働き蜂が共同で蜜を集められるようにします。こうして短期間でミツバチを増やし、より多くのはちみつを生産するのです。
ミツバチの神秘と人間の知恵。
実に素晴らしい、養蜂の世界です。