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「イモが取れたとき、子芋は食べるけど親芋が残るやろ。もったいないから、もち米と混ぜて炊き、作ったんやな。あんを包んで。田舎のおやつやな」
 森本綾さん(76)が作る『イモもち』に使うイモはサトイモである。栗谷地区ではサツマイモを「サツマ」、サトイモを単に「イモ」と呼ぶ。
 「今は時期外れで、土に埋けていたうちのイモがなくてな。イモよ〜、イモよ〜と探し歩いたんよ」と森本さん。ご近所から分けてもらったサトイモは、八つ頭(ヤツガシラ)と日向(ヒュウガ)の2種。「ホコホコした八つ頭に比べ、日向はどちらかというとびしょつく」が、サトイモの品種にはこだわらなくていい。
 材料は、もち米5合にサトイモ600グラム、市販の粒あん1キロ、きな粉1〜2袋と塩少々。
 森本さんの『イモもち』作りを手伝ってくれたのは、栗谷地区活性化を図る会の仲間、前田宏子さん(64)と栗谷百合子さん(60)のお二人だ。
 サトイモは皮をむいてざく切りにし、もち米の上にのせて塩味で炊く。白米5合を炊く時と同じ水加減でOKだ。炊きあがったら10分間ほど蒸らし、「もち米をつぶすというよりイモをつぶす」感覚で、すりこぎで万遍なく釜を突く。これが『イモもち』の生地である。手を水で濡らしながら、あつあつ、べたべたの生地を手のひらに広げてあんを乗せて丸める。丸めたもちをきな粉にまぶすと完成だ。きな粉には塩を少々入れておくことを忘れないように。
 「生地もあんも目分量。きな粉もひっつくだけ。あんまり小さく丸めると、けちってにゃ、と言われるから気ぃつけて」
 作りたての温かい『イモもち』をいただく。見た目は『きな粉まぶしのおはぎ』だが、もち特有のもったり感がない。さくっとした食感、口でとろけるやわらかさとほんのりした甘さ、きな粉の風味が効いて新鮮なおいしさである。1個では物足りない。2個食べて満足した。
 「今は食べてくれる人がおらへんので作らんけど。作るとおいしいんやけどな。もち米5合、サトイモ600グラムで、イモもち58個。冷えてもやわらかいとはいえ、これじゃ作りすぎだわ。まあ、これを目安に加減して作ってもらえばええということで…」

森本 綾さん


※「ご家庭で作るイモもちセット」の販売は電話のみの受付となっております。
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発行:株式会社 山田養蜂場  編集:(C)リトルヘブン編集室
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