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リトルヘブン
秩父生まれのたい平です

一年三百六十五日、どこかで必ず祭をやっていま す。そんな秩父盆地で生まれ、育ちました。故郷に 祭があるってとってもいいんです。今の世の中、年 長者、先輩を敬う気持ちが薄らいでいるように思う んです。秩父は祭がありますから、自然とそういっ たことが子供の頃から身につくんです。自分よりも 一回でも多く祭にたずさわった人を尊敬する。昔か らのことを多く知っている年長者を大事にする。学 校では教えてくれないこういった大切なことを、祭 が教えてくれるんです。町の為、祭の為に、たくさ ん働かないと認めてもらえない、信頼されない。早 く祭で輝ける大人になりたいと心から思ったもので す。 林家たい平

狭い町ですから、みんなすべての事を知っている んです。どこそこの誰ちゃんは今度どこそこへ行く らしい、田鹿さんちの息子が落語家になったんだっ て。秩父中が顔見知り。一見面倒臭く感じますが、 これがまたいいんです。人と関わることが上手くな い若者達が増えています。本当は関わりたいけど、 どうしたらいいか判らない。そんな人が多いと思う んです。秩父は、そんなことを考えている前に関 わって来ます。町中がみんな世話焼き、いい意味の おせっかい。これってとってもありがたいことなん です。「俺は一人ぼっちだ」なんて思っている暇が ないんです。秩父に生まれたからこそ、『落語家・ 林家たい平』の存在価値があると思っています。
落語の中に出てくる人情、共同生活の楽しさ、 温ったかさ。“たい平落語”のベースは故郷で教え られたこと、学んだこと、感じたことで成り立って いるんです。
技術や科学が発達する一方で、人の心だけが取り 残され、軽んじられている現代だからこそ、大切な ことを落語に乗せて伝えて行きたいと思っていま す。体の中に流れるのは祭大好きな熱い血、体を動 かすリズムは秩父屋台囃子。世の中が少しでも明る く、笑顔になるよう落語を演っていくことが故郷秩 父への恩返しだと思っています。

【プロフィール】
林家たい平(はやしや たいへい) 
1964年埼玉県秩父市に生まれる。
1987年武蔵野美術大学造形学科卒業。
1988年林家こん平に入門、2000年真打昇進。
平成十九年度芸術選奨文部科学大臣新人賞など、数多くの賞を受賞する。
独演会を中心に全国で落語会を行っている。
現在は、人気番組「笑点」の大喜利メンバー、ニッポン放送「テリーとたい平のってけラジオ」など、テレビやラジオでも活躍中。

読者からの便り
夏号の「望遠鏡で対岸の安否知る」を読んでいて 涙が出ました。今は車になりましたが、昔、汽車で 高松方面へ行く時、大豊のずっと上の、天に手が届 きそうな所に家が点在するのが、目に浮かびまし た。こうして兄弟の様子を伺っていたのですね。
高知県高知市 O・T

西村太郎さんの記事には感激しました。実は私の 実母は西村さんより一歳年上の九一歳、ややボケ気 味で長男の私が介護しています。この年代の人なら ではの人生経験を忘れることなく記憶に留めて置か なければ・・。昔の子ども達は楽しかったは痛烈!
東京都大田区 S・N

日本人の暮らし、日本人の顔が、ちゃんとあるの だなあと豊かな気持ちになる新聞です。そこで食さ れている食べ物は、当然そこの土で育った作物、そ この川や海で泳いでいたもの。人間の特にお歳を召 した方の表情には滋味が溢れていて、日本っていい なと嬉しくなります。
福岡県福岡市 T・F

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