「なしてあんた、働かねなんすよ(働かないの)。一生懸命働けば、おらあんたの嫁っ子になってもええどもな」って言ったんだとしゃ。八幡様の鳥居の前で、「ちょっと用足してえ」ってその娘っ子、藪の中さ消えてしまってな、なんぼ待っても、出て来ねえぞな。東の空が明るくなって、ばっかくせえって思ってよ、鳥居の前に風呂敷包みさ置いて帰ったと。
でも気になって戻ってみたらばよ、風呂敷包みさねっけぞの(なかったそうだ)。同じ大きさの石が、ねこっと(どっしり)あるぞの。その後、丑五郎の夢枕さ娘っ子現われてな、「真面目に働け」って言うんだとしゃ。丑五郎、見違えるほど働くわぎゃもんになってな、そこらで一番いい嫁っ子貰ったんだとしゃ。
今も八幡様の境内に石あってな、娘子石って名前でな、昔は二十四貫(約一〇〇キログラム)、今は雨風にさらされて二十二貫(八三キログラム)。祭りの時には、わぎゃもんが我先にその石さ担いでよ、嫁っ子授かりますようにってお願いするんだとしゃ。子供のいねえ夫婦は、石を三回廻って拝めば子宝に恵まれるんだとしゃ。
とっぴんぱらりのぷー
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