大隈家4人兄弟の名前を初めて耳にした時、念仏かと思った。楽(がく)草(そう)連(れん)収(しゅう)。集落のお年寄りたちは、楽草連収と指を折りながら名を呼ぶ。
「道でボール蹴っても、大声出しても何も言われんし、お帰りって皆が声をかけてくれよる」
8年前、白石地区に引っ越してきた大隈さん一家は、鶏と合鴨を飼い、米や野菜を作る専業農家をしている。「兄いのカステラはおいしかよ」。収君(5)が言うと、「卵はいつもあるけん、おやつは自分で作りよる」と楽君(14)。彼は「うちは鴨もおるけん、鴨鍋が好き」と言う。「ちょっと残酷だけど、首ば物干し竿に下げてから、首筋の血管ば包丁で切って、ひっくり返して血ば全部垂らして、皮ば剥ぎやすいようにって、ポンプで体に空気を入れて膨らませよった」「太っとる鴨は美味しいけど、太っとらんのはちょっと固い」
父親の捌きを見ていた草君(12)と楽君が、興奮気味に教えてくれた。4人兄弟は、食べる喜びを知っている。
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