お亀池の伝説ちゅうのは、この辺のもんは皆知っとる話で、わしも小学校の時分に先生に教えてもろうたんやで。
昔な、ある家で嫁さんをもろうたんやけど、その嫁さんが昼間家におらんと、いつも留守にしとる。子どもが出来たんになあ、乳も飲まさんと家におらん。どうも、亀山の麓の池に行っておるちゅうことでな、ある日、泣き止まん子どもを連れて父親が池まで行ったんやて。そん時は、嫁さんが乳を飲ましてくれたっていうんやな。でも、「もう、ここには来んなっ」て言われたちゅうことや。
そいでも、子どもが泣いて泣いてしゃあないもんやから、父親はまた連れてったんや。そしたら、嫁さんが「来んな言うたやろっ」て、えろう怒ってな。大蛇になって追いまくったちゅうねん。
そん時、大蛇が大きな口を開けたんで「大口」ゆう名がついたとこがあんねん。畑がある場所や。大蛇が立ち上がったところは「タテホリ」ゆうしな、大蛇が喉渇いたさかい、水飲んだ場所が「水ノミ」や。そこは、今でも水が湧いてまんのや。ちっさい池もありまんねやで。
大蛇になった嫁さんの名前が、お亀やねん。せやから、池の呼び名も「お亀池」や。 |