TOP
リトルヘブン
愛川町も球団もアットホームで居やすい 村中恭兵 (東京ヤクルトスワローズ投手)

桂 三馬枝 (かつら さんばし)
桂 三馬枝 (かつら さんばし)


昭和33年1月15日生まれ。出身地 奈良県宇陀郡大宇陀町(現・宇陀市大宇陀)。昭和53年4月桂三枝下入門。昭和56年8月なんば花月にて初舞台。昭和60年度ABC漫才・落語新人コンクール 審査員奨励賞受賞。現在、座布団一つで全国津々浦々を家庭訪問落語で行脚中。ご用命は06-6751-2279(噺家クラブ)まで

最近、私は家庭訪問落語で全国を回っております。訪れた先々で、幼い子どもからお年寄りの方々に笑っていただき、笑いで元気をふりまきつつ、私も元気をいただいております。また、地方の方々の温かみを感じ、山々を見ながら、ふと気づいたら自分が育った奈良県宇陀郡大宇陀町(現・宇陀市)を思い出しています。
私が育った大宇陀は、山や田畑にかこまれ、狐、たぬきが未だに出る自然がいっぱいの所であります。又、柿本人麻呂が詠んだといわれる「かぎろい(陽炎)」が、冬の朝に稀に見られ、今や「かぎろいツアー」が出るほどの人気になっています。
そんな自然いっぱいの大宇陀で、夏は、スイカを食べながらクワガタやカブトムシを捕り、冬は、雪合戦や竹スキーに興じ、人が笑う顔を見るのが好きで、人を笑わせようと人前に出ては何かをやっていました。
そんな折、近所の榛原(はいばら)という町にサーカス団がやってきました。私は父に手を引かれ、ご近所さんと初めてのサーカスを見に行きました。そこでは、人々の拍手と歓声が飛び交い、すごい迫力でありました。近所のおばちゃんに「あんたも大きなったら拍手もらえるようになりや」といわれ、幼心に私は誓いました「おれもこんな大きな拍手をもらえるようになるぞ」と。
その思いは二十三歳の時に叶うことになります。師匠桂三枝のもとで修行をし、晴れて〈なんば花月〉で初舞台の時を迎えました。緊張でドキドキ。「私の舞台にお客さんがいてくれるのだろうか…」と不安も混じり、いざ緞帳幕が上がると、すごい歓声。なんと、ふるさと大宇陀の皆さんがツアーで来てくれていました。そのことが励みになり、無事に演目を終え、拍手喝采をいただきました。涙が止まりませんでした。
その後も何度かくじけそうになった時、ふるさとの皆さんが楽屋を訪れてくれ「スイカ」「メロン」の差し入れ、「また帰ってきいや」という温かい言葉が私を支えてくれました。
そんな温かいふるさとの皆さんやふるさとの情景を思い出しながら、家庭訪問落語の先々で笑っていただいております。次は、あなたのふるさとでお会いできるかもしれませんね。

 
里人に聴く TOP  1  2  3  4  5  6  7 ふるさとの未来
発行:株式会社 山田養蜂場  編集:(C)リトルヘブン編集室
Photography:Akutagawa Jin  Copyright:Abe Naomi  Design:Hagiwara hironori