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リトルヘブン

地域の未来 大澤真優(まひろ)さん(10)と朱莉(あかり)さん(8)/ ただ歩くだけだば、緊張しないよ

 スクールバスは、毎朝ふたりの自宅前に停まる。沢田集落の子どもは、相馬小学校4年生の大澤真優さんと2年生の朱莉さん姉妹だけ。歩いて行ける距離に友達はいない。でも、ふたりは、雪の中で面白いことを見つけるのが得意だ。「おじいちゃんが、かまくら作ってくれるの。テーブルとか椅子入れて、基地にするの」と朱莉さんが言えば、「かまくらの壁に穴掘って暖炉みたいの作って、薪の代わりに砕いた氷をいっぱい入れるんだよ」と真優さん。
 「沢田ろうそくまつり」では昨年に続いて、巫女として松明行列に参加する。「ただ歩くだけだば、緊張しないよ」と、ふたりは余裕の笑顔。巫女の衣装は、沢田集落で代々受け継がれたものだ。巫女を務める女の子が居なくて長い間使用されなかったが、去年からまた復活した。ただ、この後、ふたりに続く子どもが集落にはいない。

雪の中で遊ぶ仲良し姉妹

雪の中で遊ぶ仲良し姉妹の大澤真優さん(右)と朱莉さん

読者からの便り
 東京育ちです。実家には、掘りごたつがありました。炭を使っていた頃、身体の芯までほっこりする暖かさや火の匂いに包まれ、電気では味わえない温もりでした。
 本紙で紹介される里の生活はところどころ、昔の東京の生活と重なって、とても懐かしく思い出します。
 人と人が繋がっている生活環境も、若い時は余り分からずにいましたが、何にも勝る宝と、リトルヘブンを読みながら思います。
東京都練馬区 T・K(62)
 我が家には、十年ほど前に種から育った柿の木があります。実家の福島では沢山の実がなりましたが、今年は食べられません……。我が家の柿が早く大きくなってくれたら、実家に送ることもできるのですが。北国なので…。いなか大好きです。猪を谷川に浸けて冷やす写真に! 自然は生きている。大切にしよう。命の繋がりを感じました。
北海道札幌市 A・K(55)

 売れたら掘って、その場で売る。町に住んでいる人には考えられない事です。元気であれば田舎暮らしもいいなと思い、小松菜畑をじっと見ていました。私たちは、収穫してから何日も経って口に入ります。
岡山県岡山市 N・I(70)

 「五七五の窓」は、ほんのちょっぴり俳句をかじっている私にとって、学びの場となっています。特に、原句との違いがよく分かり、修正後の句が、より良くなってしまうのには、ビックリ。
岡山県岡山市 T・I(27)
リトルヘブン余録

 「どうしてここを取材地に選んだのですか」と、聞かれることがある。取材地を決めるのに確かな根拠はない。ただ、冬には北国を、夏には南の地域をと決めている。取材地の特徴が、良く出ている季節を伝えたいからだ。もう一つは、テレビや大手新聞などの報道で知られている土地や行事は取材しないということだ
▼土地には、掛け替えのない固有の自然があり、歴史があり人々の絆がある。生まれた土地で働き暮らしている人々は、自らの土地が秘めている魅力を意識することはほとんどないだろう。毎日は、平凡単純な繰り返しの上に築かれているのだから。有名になることが価値が高いと考えるならば、平凡の中にこそ魅力があることを見落としてしまうのではと、懸念する
▼小紙では、誰もが普通に暮らす自然の魅力や地域の絆を伝えてきた。年表には出てこないが、普通の人々が刻んできた歴史を伝えることが大切と考えているからだ。小紙タイトルの副題として掲げている「小さな楽園・幸せの日々」には、そんな願いを込めた
▼取材でお世話になった方々に、掲載紙をお送りすると、「私たちの地域は、こんなに魅力的だったんですね」と、便りをいただくことがある。都市化が進む我が国で残すべきは、平凡で小さな故郷の自然であると思う。雪に覆われた「沢田集落」が秘めている自然の魅力が伝わっただろうか。

あなたの故郷を取材地にご推せんください。
 
(リトルヘブン編集室:芥川 仁)
芥川 仁 オフィシャルサイト>>>
 
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