スクールバスは、毎朝ふたりの自宅前に停まる。沢田集落の子どもは、相馬小学校4年生の大澤真優さんと2年生の朱莉さん姉妹だけ。歩いて行ける距離に友達はいない。でも、ふたりは、雪の中で面白いことを見つけるのが得意だ。「おじいちゃんが、かまくら作ってくれるの。テーブルとか椅子入れて、基地にするの」と朱莉さんが言えば、「かまくらの壁に穴掘って暖炉みたいの作って、薪の代わりに砕いた氷をいっぱい入れるんだよ」と真優さん。
「沢田ろうそくまつり」では昨年に続いて、巫女として松明行列に参加する。「ただ歩くだけだば、緊張しないよ」と、ふたりは余裕の笑顔。巫女の衣装は、沢田集落で代々受け継がれたものだ。巫女を務める女の子が居なくて長い間使用されなかったが、去年からまた復活した。ただ、この後、ふたりに続く子どもが集落にはいない。