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リトルヘブン
太公望は釣った魚を自分でさばく

伊藤大輝(だいき)くん(11)は、妹の美桜(みお)ちゃん(10)と一緒に、隣地区の全校生徒が22人の城内小学校に通っている。 大輝くんは、学校から帰ると釣り竿をもって山谷川目川へ向かう。集落の真ん中を流れるこの小川は、ヤマメやイワナの宝庫だ。 「前に、僕が釣りをしてたら、知らない郵便局の人が通りかかって、明日入れとくよって言うんです。 次の日ポストを見たら、釣り針と糸と餌が入ってました」。その後、郵便屋さんは「釣れたか」と声をかけてくれるという。

冬になったら、岩洞湖(がんどうこ)でワカサギ釣りだ。大輝くんは「釣った魚は、自分でさばきます」と、力強く言った。
「腹の部分を上にして、包丁刺したらザーっと開いて、臓(はらわた)と鰓(えら)とって、ヌルヌルを包丁使ってサッサッとやる」。 なんだか、手際が良さそうだ。「お兄ちゃん、ご飯の前にひとりで焼いて食べてるの」。美桜ちゃんが、教えてくれる。 禁漁前に釣ったというイワナを、大輝くんが見せてくれた。井戸水の水槽で元気一杯泳いでいた。

伊藤大輝(だいき)くん(11)、妹の美桜(みお)ちゃん(10)
伊藤大輝(だいき)くん(11)、妹の美桜(みお)ちゃん(10)

リトルヘブン余禄
力持ちのおりんこが、担ぎ降りたという大岩を撮影するために、姫神山(一、一二四m)に登った時のことだ。 山頂は強風が吹き、雲間から陽光が差し込み神秘的だった。
そこへ突然、長グツを履いてジャージ姿の遠藤茂さん(69)が現れた。彼は、弾けるような笑顔を見せて言う。「今日、三回目、毎日登るだなす」。 何と、私たちが片道二時間掛かった山頂へ、今日すでに三回も登っているという。
神秘的な光景に感動していた気持ちは吹き飛んで、長グツ氏の艶々とした肌、溌剌とした話しぶりに惹き付けられてしまった。
静かな語り口の人々が多い玉山区だったが、長グツ氏との突然の出会いは、玉山区の印象を活力ある元気印に変えてしまった。
(リトルヘブン編集室:芥川 仁)
長グツ氏

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発行:株式会社 山田養蜂場  編集:(C)リトルヘブン編集室
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