伊藤大輝(だいき)くん(11)は、妹の美桜(みお)ちゃん(10)と一緒に、隣地区の全校生徒が22人の城内小学校に通っている。
大輝くんは、学校から帰ると釣り竿をもって山谷川目川へ向かう。集落の真ん中を流れるこの小川は、ヤマメやイワナの宝庫だ。
「前に、僕が釣りをしてたら、知らない郵便局の人が通りかかって、明日入れとくよって言うんです。
次の日ポストを見たら、釣り針と糸と餌が入ってました」。その後、郵便屋さんは「釣れたか」と声をかけてくれるという。
冬になったら、岩洞湖(がんどうこ)でワカサギ釣りだ。大輝くんは「釣った魚は、自分でさばきます」と、力強く言った。
「腹の部分を上にして、包丁刺したらザーっと開いて、臓(はらわた)と鰓(えら)とって、ヌルヌルを包丁使ってサッサッとやる」。
なんだか、手際が良さそうだ。「お兄ちゃん、ご飯の前にひとりで焼いて食べてるの」。美桜ちゃんが、教えてくれる。
禁漁前に釣ったというイワナを、大輝くんが見せてくれた。井戸水の水槽で元気一杯泳いでいた。
|

伊藤大輝(だいき)くん(11)、妹の美桜(みお)ちゃん(10) |