阪神大しん災の朝、わたしは少しできたつくえのすきまでおきました。
すると、ガレキが落ちたすきまから、ハチがはいってきました。
わたしは、
«ハチはいいよね。じしんがあっても、元気で。»
すると、ふしぎなことに、ハチがこうしゃべったのです。
«わたしは、女王バチです。すこしまっていて下さい。かならずあなたをたすけます。»
そう言ってハチは、もと来た場所から帰りました。
わたしは、もうダメだと思いましたが、ハチをしんじました。
一日一日とすぎていき、もうダメ、と思ったそのとき、外のほうで、
«このハチの巣、こわさなきゃな。»
という声が聞こえました。
«ハチの巣。そうだ、あの女王バチだ。»
次の日、ハチの巣を外でこわしています。
«ドン»
と、ぼうが見えました。
すると外からおじさんが、
«あー。だいじょうぶ。»
と言いました。
わたしは、
«たすかったんだー。»
と思い、外に出ました。
ところが、けがひとつないのです。
後ろを見ると、あの女王バチが、
«だいじょうぶ。けががないのは、あとでわかります。»
そう言って、ハチはいなくなりました。
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