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土地の香り、家の味松島久子さんの「スタミナサラダ」

「茶あ飲みい来るだわー、言うてね、みんなでわーわーするんが楽しいねえ」
この地方では、茶飲み友達が集まると必ず出すものがある。採れたばかりの野菜に漬物だ。
この時期だったら、トマトにミョウガの酢漬け、キュウリの漬物が並ぶ。
何か郷土料理をとお願いすると、松島久子さん(69)が「この暑さでしょ、やっぱし、さっぱりしたもんがええよね」と、スタミナサラダを教えてくれた。
「スタミナサラダ」
スタミナサラダ

松島久子さん 
松島久子さん 
「はやはやのお客さんが来た時なんかに、すぐ出せるからええ」と言う通り、漬物同様に、自分の畑で採れたものを使った素材が命の一品だ。

「糸瓜をざっくり輪切りにして湯がきますわ。その間に、タマネギ、シソの葉、トマトを切ります。頭がようなるけんタマネギ食べえ、って孫に言うとりますよ。 シソは、血がようできるから貧血の人にええ。トマトは、皮を剥かずに薄切りやね。皮と実の間に栄養があるけんね」

野菜の輪切りが終わったら、チリメンジャコをさっと油で揚げておく。ジャコを添えるのは、栄養のバランスを考えた母心でスタミナをつけて欲しいから。

「さ、糸瓜はもうええよ。湯がく目安は15分やね。水でよう洗ったほうが、べちょべちょせんでええの」

糸瓜、タマネギ、トマト、シソ、ジャコの順で盛り付けたら、市販の甘酢をたっぷりかける。
「あんまり簡単でいけませんかねえ」ジャコ以外は、どれも松島さんの畑で採れたものだ。
つっかけを履いて鋏を持って一歩外に出れば、真っ赤に熟したトマトやこんもりと茂った赤青のシソの葉がある。
「キュウリで作ったってええよ。手前にあるもん、何だってええの」トマトを口に入れるとその甘いこと。
シソの香りと酢の酸味が食欲をそそる。「昔は余った野菜を草の上に投げておったら、飼ってた牛が食べましたけんね」

トマトやキュウリをかじる牛は、今ではもう見られない。

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発行:株式会社 山田養蜂場  編集:(C)リトルヘブン編集室
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