少年らはマリオに夢中だ。カメラマンのおじちゃんがレンズを向けても、ちらっと見るだけで手元のマリオゲームが気になってたまらない。「将来の夢はね、ゲーム機になること。違う違う、ゲーム機を作る人になりたい」と兄の瑠貴くん。「えーっと、こんなゲームを作りたいんだ」と、鉛筆を持って絵を描き始めた。四角い箱からにゅっと何本も手が伸びている。「自分のキャラクターを作ってバトルする」という説明をつけた。
去年のクリスマスに、ふたりの枕元に念願のゲーム機が置いてあったのだ。学校から帰ったらまず宿題をして、それからお母さんに怒られるまでゲームをするのが楽しみだ。
「山ん中で遊ばないの」と聞くと、「熊が出るんだ」「そうそう、近くの柿の木に爪の跡があったって」「花壇のところにうんちがあってね、柿の種があったから、熊のだよ」。
お父さんと一緒にテニスをするのと、兄弟で「戦いごっこ鬼ごっこ」をするのも好きだと聞いて、ちょっとほっとした。
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