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みつばちの童話と絵本のコンクール


«黄色の天使»

努力賞

作小宮山幸菜(新潟)

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5.旅のはじまり
みつばちは、風の吹く方へ三日旅をしました。旅に出て三日たった昼時、おなかがすいたので野原でラベンダーのみつをのみました。いつも、あきあきして飲んでいたラベンダーのみつも、つかれているとおいしく感じました。みつばちは、おなかがいっぱいになると、野原に横になって目を閉じました。
みつばちは、お母さんを思いだしました。やさしかったお母さん。いつだってそばにいてくれたお母さん。いつだったかお母さんといっしょにはちみついっぱいのクッキー作ったっけ。なつかしいな。おこられたこと。
みつばちは、ねむっていました。ゆめの中でお母さんに会いました。







6.くらやみでの旅
よく朝、お日さまがまぶしくみつばちを照らしつけました。みつばちは、まぶしそうに目をぱちぱちさせて、お日さまをみつめました。
«あっ、いけない。ついねむってしまった。風がやけにすずしいな。ちかく森があるのでは»
みつばちは、元気よく飛び立ちました。
しばらく飛ぶと木々がおいしげる大きな森が、みつばちの前にあらわれました。でも、道は二つに分かれています。一本は、木々がならぶ大きな森、もう一本は、なにもない一本道です。
«もしかしたら、花があるかもしれない。よしきめた。行ってみよう»
みつばちは、勇気を出してまっ暗な森へ入って行きました。
森の中はとっても暗くて、花が咲いているのかもわかりません。鳥はぶきみに歌い、虫たちは木をかさかさ登って行きます。ちょうど中央あたりにきたでしょうか。まっ黒でこげた木のようでした。ひときわ高く大きな木です。でも、ウッドとはちがいます。とっても冷たくて、ぬくもりややさしさがすいとられるようでした。
と、とつぜん、大きな木が動きだしました。とたんに、静かだった森が急にさわがしくなりました。
«キキ〜ッバサバサ〜バッ»
急に目の前に大きな黒いかげがあらわれました。それは、一ぴきの山ねこでした。
«なにして来たニャ。ここはおまえみたいなやつがくるところじゃないニャ〜»
«キャッキャ〜キッ〜»
まるでみつばちを追い出そうとしているように、森の動物たちは鳴き出しました。
«あ、あの黄色の色で口が広がって、みつがたくさんある花はありませんか»
«そんな花があったらとっくにふまれてるニャ〜»
«まん中が開いていて、花びらが五つで黄色の花はある»
と、とつぜん大きな黒い木がみつばちをつかみあげました。山ねこがさけびました。
«ブラック様、なにをなさるので»
«おい、みつばち、おまえまさか光スイセンをとりにきたんじゃないだろうな»
«うっ、うんそうだよ。もしあるところを知っていたら教えてもらえませんか»
«虫のぶんざいで、とんでもないやつだ。おまえのほかにもとりにきたやつはたくさんいたよ。でも、たとえだれだろうと光スイセンをとるやつはゆるさん。なぜ、なぜおまえは光スイセンをねらうんだ»
«ぼくは、風の吹く方向のぎゃくの森から来たんだ。ぼくの森にもあなたのような大きくてりっぱな木、つまり森の神がいるんです。けれど、かみなりにうたれて体がこげてしまった。放っておけばやがかれてしまう。森の神を助けるには、二つの花が必要なんです»
«なるほど、その中の一つは光スイセンてわけだ。だが、光スイセンはやらん»
«どうしてそんなに光スイセンを大切にするの»
«もうなん年も昔のことさ。おれは昔光るほどきれいな木だった。だがあの時のできごとがおれをかえた。その日は朝から天気が悪かった。だいたいあらしになることはよそうしていた。だがあの時のあらしはふつうじゃなかった。おれの枝が飛びそうなくらいだったからな。おれはみんなを体のあなにひなんさせた。ところが下を見たらスイセンがさいてやがる。おれはなんだかそのスイセンがとても大切なものに感じた。手をのばしたら、かみなりが落ちやがった。見るもむざんにまっ黒こげだ。でも、そのかわりにスイセンは美しく咲きみだれているよ。森のやつはスイセンを光スイセンと呼ぶようになった。それとひきかえにおれは、いつの間にかブラックだ»
«でも、ブラックさんはスイセンを助けた。やさしさがあります。見た目はどうあれ心の中には花が咲いてるよ»
«へんなやつだ。おれをよく言うやつなんでおまえだけだ。だがおまえはいいやつだな。よし、とくべつに光スイセンをとることをゆるそう。大切にしてくれ»
«ありがとうブラックさん。それでその光スイセンはどこに咲いているの»
«おれの後ろの道をまっすぐ行け。きっとスイセン丘に着くさ»
みつばちは元気よくとびたちました。木々おいしげるけもの道を、みつばちは進んで行きました。と、とつぜん目のまえが光につつまれました。みつばちはぼうぜんとしました。まっ暗で、冷たい森に、こんなすばらしい場所があるなんて。みつばちの心の中で、なつかしい森のけしきがよみがえりました。
スイセン丘には、きらきらと光るスイセンがたくさん咲いていました。みつばちは空高く飛び上がり、ひときわ光りかがやいているスイセンをみつけました。
みつばちは、ふくろう博士にもらったカプセルに光スイセンの金色にかがやく花ふんを入れました。カプセルをバックに入れてもときた道をもどって、ブラックにさいごのあいさつをして、森を飛び立ちました。
«よし、これで残りは一つ。ウッドさんすぐ助けてあげるからね»
みつばちは、風に乗って夕ぐれの空へつぎの旅に出かけました。






7.同じ思い
一週間がたちました。みつばちは、あいかわらずゆらゆらと風の旅です。
«あ〜あまだ森は見えてこないな。あっあれもしかして森、でも林にもみえるな。でも、たしかめてみるか»
みつばちは、風に乗って森の中へ入って行きました。森の中は、とても明るくてあたたかい風が吹いています。まるで太陽の中みたいです。みつばちがふと横を見ると、色とりどりの美しい花がさきほこっています。
«わぁ〜きれいな花。ここにならチューリップがあるかもしれない»

みつばちは、美しい花に見とれていました。みつばちは、チューリップをさがしました。
花のならぶ道を、中央へ中央へチューリップをさがして進んで行きました。
ちょうど半ぶんぐらいきたでしょうか。
«わぁ〜きれいな木»
みつばちは、木をじっと見つめました。ふと根元のほうを見ると、色とりどりにチューリップが咲いていました。
«なんだやっぱりあったのか。それにしてもこのチューリップきれいだな»
みつばちがチューリップの花に顔を入れたその時、だれかが大声でさけびました。
«わたしのぼうやになにするの»
みつばちが、声のした方を見ると、光りかがやく美しい木が、みつばちをにらんでいました。木が光のこなをまくといっせいに動物たちが集まってきました。
みつばちはびっくりしてチューリップからはなれました。みつばちの目の前に、大きなシマリスがあらわれました。
«こらっ、フラワーさんのぼうやをとろうなんて、この森のもんじゃないわね»
«フラワーさんてだれだい»
«知らないの。あなたの後ろのステキな木よ。いつ見てもうっとりしちゃう»
«フラワーさん、そのチューリップの花ふんをいただけないでしょうか»
«いやよ、いや。一つぶだってあげないわ»
«どうして、ぼく、どうしてもそのチューリップがほしいんだ»
«なぜ、わたしのぼうやをほしがるの»
«いまこの森には、あたたかい風が吹いているでしょ。この森のぎゃく方向から来たんだ。ぼくのいた森も、あなたのような美しい木がありました。でも、かみなりにうたれてたおれてしまいました。木を助けるには、どうしてもチューリップが必要なんです»
«あなたはとってもやさしい子ね。でも、ぼうやをあげることはできないわ»
«少しだけでいいんです»
«だめったらだめなの。あたしのぼうやはだれにもあげないわ»
«なぜ、チューリップをそんなに大切にするの»
«チューリップじゃないわ。わたしの大切なぼうやよ。もうなん年も昔のことよ。わたしには子どもがいたの。それはもうかわいくてすてきな子だったわ。けれど森にへんな病気がはやりはじめたの。病気にかかった木は、葉がむらさきになり、枝が青くなったわ。病気は広がり、わたしのぼうやもでんせんしてしまったのよ。わたしはもうあきらめたわ。でもなぜか花にはでんせんしなかったわ。わたしはそのとき思ったわ。あの子はチューリップをとても大切に育てていたわ。その年あの子は天に旅立ったわ。あの子がチューリップを大切にしていたその気もちが、わたしにはよくわかった。だから、わたしは、チューリップをぼうやだと思って大切に育てたのよ。だから、だからこんなに大切にしてきたぼうやを人にあげるなんてできないわ»
«でも、ぼくだって大切な人をなくしたくないよ。ぼくのお母さんも死んだんだ。ぼくもフラワーさんのように同じぬくもりを感じた木がいるんだ。だから、人にきずつけられたくないという気持ちがわかるんです。だから、フラワーさんのチューリップはあきらめます。すみません。つらいことを思いださせてしまって»
みつばちは飛び立とうとしました。するとその時、フラワーがニッコリわらって言いました。
«あなたは、わたしのぼうやにそっくりね。あなたは今日からわたくしのぼうやよ。どうぞチューリップを持ってって»
«ありがとうお母さん»
みつばちは、ニッコリわらって、チューリップの花ふんをやさしくとりました。みつばちは、フラワーさんにお礼を言うと花々のならぶ道を飛んで行きました。みつばちはウッドのいる森に向かいました。







8.ふる里へ
なん日も、飛んで行くと、ウッドの森が見えてきました。
«お〜いみんな、花を持ってきたぞ〜»
動物たちは、みつばちに言いました。
«みつばちくんありがとう・・・ポロポロ»
«なぜなくの、せっかく花を持ってきたのに»
«みつばちくん、残念だがウッドは今、息を引きとったよ»
«そんなウッドさん、目をさましてください・・・そうだ、まだくすりがきくかもしれない、ふくろう博士手伝ってください»
«むだだと思うがやってみよう»
ふくろう博士は、花ふんをすりつぶしこなにしました。
«さあ、みつばちくん、これをウッドにかけるんだ»
みつばちは、ウッドの葉、体に花ふんをかけました。
・・・シ〜ン・・・
いっしゅんあたりが静かになりました。だが、なにも起こりません。みつばちは、なきだしました。ウワ〜ンシュシュみつばちにつられるように、森の動物たちもなきだしました。森にあたたかい風がふき、なみだがウッドの体にふりそそぎました。と、その時、ウッドが光に包まれました。
パーッと光かがやく中から、美しい昔のウッドが出てきました。
«みつばちくん、ありがとう、この森の神がわたしなら、きみは天使だ»
森のみんなはみつばちを黄色の天使と呼ぶようになりました。いつまでもみんなの心の中に残る黄色の天使です・・・
あなたも、黄色の天使がすむ森をさがしに行きたいですね。きっとウッドも森のみんなも待っていることでしょう。




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