中津川堤防近くに、仙台下耕地と呼ばれる水田が、青々と稲葉を茂らせている。その中に休耕田の草山が二か所。堤防沿いの道に望遠レンズを草山に向けている男性。「セッカを狙ってるんです」と、写真を見せてくれた。私にはスズメにしか見えない地味で小さな野鳥だ
▼私の反応が鈍いのを察知した彼は、「カワセミが来る場所がありますよ」と親切だ。腹はオレンジ色、背中にコバルトブルーの筋、水中にダイビングして魚を捕獲する人気の野鳥だ。教えてくれた場所は、灌漑用水が、中津川に流れ込む水門。川底にドジョウが居るのだと言う
▼水門近くで待つ。辺りは暗くなってきたが、カワセミは姿を見せない。そこに、先ほどの男性が。「気になったので様子を見に」。自然を愛する人はあくまでも親切だ。「来ないですか」と不思議そう。「どこから狙ってましたか」と聞くので、水門近くの草むらを指さす。彼は笑い転げた
▼「あんな近くに立っていたら、野鳥は来ないですよ。離れて車の中から狙わないと」。翌朝は、五時過ぎに同じ場所へ。車の中で待機。来た来た。水門のハンドルにカワセミが一羽。カメラに手を伸ばした途端、パッと飛び去った
▼用水路の最終地点にドジョウがいると聞いて、使っている農薬を知りたくなり、会う農家ごとに聞いた。農薬の名前や種類を正確に答えられる人はほとんど居ない。兼業農家なので、そこまで自分で考えないと言う。少し驚いた。 |