毎日決まったように拝む仏壇と神棚に 「伊藤様」の歴史がにじむ |
「美味しいって子供たちが食べてくれるのが嬉しくってさあ」
伊藤家は、数年前から田舎暮らしを体験する修学旅行生を積極的に受け入れている。
東京都や埼玉県から来る中学生だ。
「きかんぼうも来るさ。
そしたら、一対一でぐぐっと向き合ってさ、話すんだ。川遊びにも連れてくし、畑仕事も手伝ってもらう」
「子供たちを裏のお堂に連れてく時さ、縁結びの神様だっつうと、みんな我先にお参りをするんだわ。
なあに、あれはさ、会津藩が越後に攻め込む時、戦勝祈願して宿泊した観音堂なのよ」
春がくると、子供たちがまたやってくる。
律さんが作る「山菜の天ぷら」を食べながら、「どうして伊藤様なの?」と聞かれたら、和夫さんの出番だ。
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