枝や葉を切る剪定技術を駆使して高品質のリンゴ作りに挑戦しているのが朝日町のリンゴ生産者、
高嶋幸四朗さん(48)だ。
リンゴ栽培は手間がかかる。厳寒期の雪下ろしや剪定、満開の花を摘む摘花、ピンポン玉大に育った実の摘果。
色づき始めると実を隠す葉っぱをカッティングして太陽の光に当てる。そして収穫。全て手作業だ。
この間、柔らかいリンゴの葉っぱに虫たちが寄ってくる。ウサギやネズミも甘い枝をかじりにくる。
だからリンゴが無事に育つよう消毒や施肥も繰り返し行わなければならない。
だが高嶋さんは「うまいリンゴを作るのは剪定しだい。剪定技術を確立すれば減農薬・減化学肥料栽培ができる」
と言うのだ。
同じ品種でも樹にはそれぞれ姿かたち、樹勢などの個性がある。しかし種子を残すため、根からの養分と葉っぱの
光合成によって作られたでんぷんをせっせと頂芽(ちょうが、枝の先端のこと)に運び続けている樹の生理は同じ。
よく観察して樹が伸びようとする力を促し、葉っぱの能力を高めて頂芽に実をつけさせるよう剪定するのが極意
らしい。かといって伸ばしっぱなしでは商品となるリンゴはできない。どの枝葉を残し、どれを切るか…。
剪定の可能性と限界を追い求める日々を支えているのはリンゴに向き合う情熱だ。
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たかしま・こうしろう 1958年山形県東根市生まれ。村山農業高校卒。伝説のリンゴ職人斉藤昌美の弟子の一人である清野忠氏との出会いと、自然農法の実践者・福岡正信氏の理論に触発され、平成元年朝日町に移住してリンゴ栽培を開始。現在2,5ヘクタールのリンゴ園を営む。 朝日町在住。 |