ここ菱潟の全海堂には、全海上人の即身仏(ミイラ)が祀られております。
一六八七年(貞享四)に八五歳で入滅されたのですが、当時は土葬する決まりですから弟子たちは困ったんでしょう。
三年後に、ようやく津川の代官所に届け出たそうです。
弟子の枕元に全海上人が立って、遺言どおり即身仏にするように言ったという話も伝わっています。
全海上人は阿賀野川で多発する水難事故に心を痛めて、舟やいかだが遭難する岩場を削るなどした方です。
立派な僧侶だったというので、お堂に祀ることが許可されたんでしょう。
私が子供の頃は、お年寄りにくっついて毎月八日の御開帳に行ったもんです。
和尚様がお経を上げながら、即身仏の前に垂らされている幕をクルクルっと上げるとお姿が見える。
楽しみではあったけれど、怖くもありましたねえ。
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雪に埋もれた菱潟全海堂。 7月の大祭に即身仏のご開帳をする |